« 上海の町 | トップページ | 震災 »

2010年3月 5日 (金)

そうか、もう君はいないのか  城山三郎著

このタイトルを目にした時、年のせいなのか心の中にポトンと水滴が落ちたような・・・感覚が走りました。

年の瀬に今年はお年賀を失礼しますというお葉書を年々増して受け取るようになり、別れというものに少しずつ敏感になっているのかもしれません。

たまたま11月より2年ほど主人が仕事でアメリカに赴任することになり、別の意味での相方の不在を感じるこの頃ですが、一人で物事を処理したり、決定せざるを得ないときにはじめて「一人」を実感します。独居の高齢者の方々のお気持ちが100%ではありませんが少しばかりわかるような昨今です。

紐のつながり     城山三郎

いつの頃からか  男は女の寝巻きの紐をつかんで眠るようになった。                                  女にではなく    この世ににげられまいというように

この世にはりついた女は自信の余剰のように紐にゆとりをつくって男に手渡す                              ゆとりが長ければ女の体に自由が残り男の指にあたたかさが伝わらない                                ゆとりが短ければ紐は女の息吹とともに呼吸してあたたかいが女の寝返り一つでつながりは切れる

紐のつながりがいつまで続くが男も女も考えない                                               女はきずかずして考えず、男は考えまいとして考えない

生きて在る限り目に見えぬ紐のつながり                                                    男と女の間の長いゆとり  短いゆとり

この世との長いゆとり  短いゆとり

本の最後にある図書館で知り合ったという城山三郎の奥様の写真を見ながら本を閉じました。

 

 

« 上海の町 | トップページ | 震災 »